5.もう一度向き合ってみること
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札幌市内で見つけた“春”―フレッシュなふきのとう
「コーチングは、本当に効果的なものだと思います。ただ、さっき石川さんがおっしゃったようなあらゆるアプローチをしてもなお、それでも、どぉ~~~しても、変わらない部下がいるんです。どうしたらいいでしょう?」。セミナーの最後によくいただく質問です。こういう質問をなさる方の多くは、「どぉ~~~」のところに、最低3秒ぐらいかけて苦々しい表情と共におっしゃいます。
皆さんの職場でのご努力、ご苦労は察するにあまりあると受け止めた上で、私はこんなふうにお伝えします。「“相手を変えることはできない”ので、私は自分の関わり方を変えることを考え続けています。本当にほんとぉ~~~に、私は、これ以上もう何もすることはないという極限までその人と関わってきたのか、と考えてみると、まだ何かできそうな気がするんです。コーチが相手の可能性を信じられなくなったら、それまでです。何も変わりません」。
ちょっとかっこつけてるみたいですが、そんなふうにしか答えられません。状況を聴いた上で、もう少し具体的なアプローチ法のアドバイスをすることもありますが、この言葉を伝えた時点で、質問なさった方のお顔から力が抜けるのを感じます。そして、「私、どこかであきらめていたんですね。やってみます」とおっしゃいます。この瞬間はとても感動的です。「相手」のせいにするのではなく、素直に「自分」の行動をふりかえってみられる姿勢に私は心から感動します。
今月も、何度かコーチングのお話をさせていただきました。私の話を聴かれたある方(Sさん)が、メールをくださいました。「あらゆる手を尽くしているのに変わらない社員がいる」というお話でした。「仕事上必要な技術を身につけさせたいが、なかなか上達しない。やる気がないのかと思うが、うまくなりたいと言う。言うのに、練習はしない」というお話でした。私は、いつもお伝えしているようなことをメールでお送りしました。早速、Sさんから、「もう一度、やってみます」との返信をいただきました。
しばらくして、もう一度やってみた結果の報告をいただきました。私は、鳥肌が立つの感じながら、このメールを読ませていただきました。Sさんに、「もう一度やってみる」ことの偉大さをあらためて教えていただきました。私一人の感動にとどめておくのはもったいないので、Sさんのご了承をいただいた上で、以下に掲載させていただきます。
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石川コーチ様
こんにちは。報告させていただきます。
土曜日、その子とミーティングしました。ミーティングといっても、私が新たな気持ちになっていても相手にはそれはわからないことだろうと思い、まずいつもと違う環境の中で話をしよう、と決め、近所の喫茶店に連れ出しました。
成果は、1段階目としての手ごたえは充分に感じられました。
まず、その子の得意なパチンコの話をして、その時も意識して「そうなんだ」「そうなんだ」と言うようにして、そのうちだんだんとその子にとって好ましい状況、好ましくない状況を聞きました。もともと反応の遅い子で、答えるまですごく時間のかかる子なので、私ものんびりした気持ちで、ニコニコしながら待つようにしました。
なるべく質問の範囲を狭くして、具体的な場面を思い浮かべてもらいながら話を進めていきました。一緒に働く人たち1人1人を思い浮かべて、好ましいところ、好ましくないところなど質問していきました。最後に自分自身の好ましいところ好ましくないところの質問をしてみると、
「練習が上手くいかない」と言い出し、
「どうして上手くいかないと思う?」と投げかけてみました。そうすると、思ってもみない答えが返ってきて
「皆の時間を自分のために使ってもらうのが申し訳ないから、練習を頼めない」って言うんです。なんか初めてその子の本心に触れた気がして、ハッとしました。
そんな中で、セミナーで石川コーチの話を聞いたこと。その間中、君の事を考えていたという事、私は君の話をキチンと聞いていただろうか、と思った事、自分の都合で時間を用意してその中で、結果を出そうとしていたのではないか、その時間が君にとって適切な時間だったのだろうか、と考えた事、いっぱい自分がその子に与えてしまっただろう苦痛を考え、申し訳ないと思った事。だから、今ある私と君の現在の関係で、好ましくない部分についてリセットしたいと思っていること。
そんなことを伝えました。
最後にその子は「相手を考えすぎて行動できない自分を変えなければいけない」と言い出したので、「変える事は、ものすごく大変なことだし、相手のことを思いやる事はステキなことだから、変えなくても良いと思う。それより、自分がお願いすることが、相手にとって嫌なことなのか、嬉しいことなのかが、わかったら、良いだけなんじゃないのかなぁ。と思うんだけど、どう思う?」と聞いたら
「そのほうが楽です。相手の気持ちがわかったら自分も楽です」と言ってくれました。
次はそこの店の責任者と技術担当者と4人で話をしてわかってもらう事をすることにしました。少し希望が見えました。ありがとうございます。
色々なことを見直すと、たくさん反省すべき点がありました。例えば、スタッフのやる気を引き出すところまではやって、本人が「やります。頑張ります」と言ったら、そこまでになっていて、そこから先、1年後の成果、1ヵ月後の成果、明日やることなど、全然具体的にしていなかったり、私が一方的に「じゃこうしよう。あれなんかしたら良いんじゃない?」と答えを出していたりしてました。だから、自ら行動できないのに、動かないスタッフに
「あの時やるっていってくれたのに、なんにも動かない。もぅ」と責めてました。
これじゃだめですよね。本人のやりやすい環境も作ってあげなきゃいけないし、周りのスタッフへの配慮とか根回しも必要だし、何より明日何をすればよいかを引き出してあげてないし・・・
土、日とミーティングが続きたった2日ですが、その中で試したほんの少しのコーチングスキルの成果を実感してます。本当ですね。「答えは本人の中にある」
コーチングについてすごく興味がわきました。試験を受けるとかではありませんが、もっと勉強したくなりました。久しぶりに、興味のわく、ワクワクする気分を味わってます。いつか「人は無限の可能性をもっている」を実感したいです。