コーチ石川の感動日記

215.PDCAサイクルを自分で回す4歳児

オランダの小学校には入学式がないそうです。

この日から、一斉に新入生が入ってくるという

スタイルではなく、4歳の誕生日を迎えたら、

保護者に連れられて、入りたい学校にやってくる

というのが一般的だそうです。

折々に、転校生がやってくるイメージでしょうか。

4歳と言えば、日本ではまだ保育園、幼稚園に

通っている年齢です。

 

ダルトン教育を行っている学校に行ってみて

驚いたことは、4歳児である小学校1年生から、

自分で学びたいことを自分で選択しつつ、

先生から与えられた課題も合わせて、自分で

計画を立てて取り組むということでした。

 

1週間分のタスクを1週間で終えるために、

どの時間にどの課題に取り組み、終わらせるのか

も自分で決めます。

先に遊んでから勉強したいと思う子どもは

そのようにします。

早く終わらせて、後から遊びたいと思う子どもは

そうします。

それらがすべて子どもたちに任されています。

 

また、課題に取り組んでみた結果、それがうまく

できたかどうかも、自分でふりかえるのです。

「よく理解できたか」、

「わからないところは解決できたか」、

「何か新しい発見があったか」、

「友達と協力し合ってできたか」などの項目に、

子ども自身が5段階の評価をつけていきます。

 

自分なりに、「これはよくできた!」と思う課題は、

ポートフォリオ(学習記録)と呼ばれるファイルに、

子ども自身が自分で選んでファイリングしていきます。

こうして、卒業までに、自分だけのオリジナルな

学習記録ができあがっていくのです。

 

先生は、「評価者」というよりは、子どもたちが

折々に自分で考え、気づけるようサポートしていく、

まさに「コーチ」です。

 

「やってみてどうだった?」、

「次はどうしようと思っているの?」と

質問することで、次の学びへつなげるための

省察を手伝っています。

「省察」という日本語があることを、実は、私は、

仲本さんと出会って初めて知りました。

 

「ふりかえり」という言葉は、コーチングでも

よく使っていましたが、オランダの教育現場では、

この「省察」をとても大切にしていることが

折々に感じられました。

やってみてどうだったのかを自分でふりかえり、

考察し、次につなげるという、考えてみたら、

とてもとても大切な過程です。

 

“子ども自身による自己評価”

 

 

いわゆる「PDCAサイクル」を、オランダの

子どもたちは、4歳から自分で回しながら、

学習を進めているのです。

 

◆P(計画)・・・何を勉強するのか、いつやるのか、

 を自分で考え、決める

◆D(実行)・・・実際に取り組む

◆C(点検)・・・やってみてどうだったかを

 ふりかえる

◆A(改善行動)・・・次はこうしようという

 行動を明確化し、次に活かす

 

正直、「そんなことが4歳児にできるのか?」

と思いました。でも、できるのです。

毎日やっていたら。周りの子どもたちも

みんなそうしていたら、「そんなもんだ」と

子どもは学習していくのです。

 

一方で、日本の子どもたちはどうでしょうか?

日本の教育現場では、D(実行)の部分しか

子どもたちはやらせてもらっていないような

気がします。

時間割も決められている。

教科書も決められている。

どこをどう学び進めるかは先生が考えてくれる。

「やりなさい」と言われたことをやる。

やってみて、それが合っていたのか間違って

いるのか、上手だったのか、下手だったのか、

評価もすべて先生(他人)が行う。

自分でふりかえり、次はこうしようと省察する

時間などほとんどなく、

「次はもっとこうしようね」と先生から指導される。

 

こんな状況で、「自分の課題は、自分で考えて、

自分で解決できるんだ」という自己肯定感など

到底持てないのではないかとしみじみと感じました。

 

すべての教育現場がそうだと言うつもりは

ありませんが、PDCAサイクルを自分で回しながら

学習している4歳児を目の当たりにしたとき、

私の内側では、これまでの人生観がガラガラと

音を立てて変わる音が聞こえてきました。

 

 

(もう少しつづく)

 

 

 

一覧に戻る