111.「がんばれ」でがんばれる?
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4月の富良野はまだ雪でした
春になり、プロ野球が開幕しました。私としたことが不覚にも今春、スケジューリングに失敗してしまいました。大事な大事な札幌本拠地でのファイターズ開幕戦、私は東京で携帯サイトから応援していました。悔しすぎます。札幌ドームで応援したかったのに!! 連勝したから、よしとするしかありません。
さて、私たちは、誰かを応援するとき、どんな言葉を使っているのでしょうか? 最もポピュラーな言葉は、「がんばって!」でしょうかね。この「がんばれ」という言葉、英語やドイツ語には存在しないのだと最近読んだ本(※)に書いてありました。じゃぁ、何て言うの?
「気楽にやってこいよ」
「楽しんで!」
「力をぬいてね」
こんな感じだそうです。たしかに、「Take it easy!」とよく言ってますね。
某社のT社長のところに、ある日、現場に張り付いている20歳の社員Yさんから電話が入りました。深刻な声で、どうやらほとんど徹夜明けの状態のようです。
「現場があまりうまくいっていない気がします」
T社長はすぐに現場に向かいました。
コーチングを学ぶ前の社長ならきっとこう言ったでしょう、とご本人が報告してくださいました。
「おい、うまくいってないってどういうことだよ。あと少しだろ。がんばれよ!」
しかし、この時、T社長の口から出た言葉は・・・
「何が心配なの? 一つずつ解決していこうか」
冷静に聴いてみると、取るに足らないことばかりだったそうです。
「だいじょうぶだよ。うまくいってるよ。社長が言うんだからだいじょうぶ!」
ようやく笑顔が戻ったYさんが、一言。
「現場を一人で任されていて不安でした」
T社長は若い社員をそんな気持ちにさせるまで放っておいたことを反省したそうです。そして、激励するつもりで言う「がんばれ!」はかえって、相手を萎縮させる、「だいじょうぶ!」、「リラックスしてやって」の一言がどんなに効果的かを身をもって感じられた、ということです。T社長が最後にYさんにかけられた言葉もすばらしいです。
「電話くれて、ありがとう!」
今年は、ピッチャーが打ち込まれても、「おいおい、もっとがんばれよ~!」と叫びながら応援するのはやめようと思います。
(※)「心を鍛える言葉」(白石 豊 著/NHK出版 生活人新書 680円税別)
おすすめ本です。白石先生は、ファイターズ白井一幸ヘッドコーチのメンタルトレーニングの
コーチです。