138.なぜ強い?
ニュース
北海道日本ハムファイターズが好調です。シーズン始まってから、借金8、リーグ最下位という時期もありましたが、気がつけば、貯金8、2位浮上です。交流戦に入ってからも未だ負けなしの13連勝中です。
6月に入って、ようやく札幌ドームでの観戦が叶いました。この日勝てば、10連勝という試合でした。
「負ける気がしない」そんな空気が札幌ドーム内に始終漂っていました。選手も、ファンも。9回表でちょっとドキドキした試合でしたが、「今日も勝てるな」と思って観ていました。「勝てる」と思っていても、実際10連勝の瞬間に立ち会えた喜びはひとしおでした。
開幕前から、「小笠原、新庄の抜けた穴をどう埋めるか」と言われ続けました。「穴って、ファイターズにあったんだろうか?」そんな気さえします。かつて、白井一幸ヘッドコーチが、「いつか、“たまにはファイターズが負けるところも見てみたい”、と言われるようになると思います」とかなんとかおっしゃっていたことがありましたが、今、本当にそんな心境です。なぜ、負けないんでしょう? ホームランの数も12球団の中で一番少ないし、打率もめちゃめちゃいいわけではありません。
ただ、ファイターズの選手の皆さんは、本当に野球を楽しんでいるように見えます。のびのびワクワクしながら野球をしているのが、観ていて伝わってきます。「負けたらどうしよう?負けるかもしれない」という萎縮も、「何が何でも勝たねばならぬ」という気負いも感じられません。そして、特に若手選手の成長を実感させるチームです。このチームは本当に丹精込めて選手の技術とマインドを育成してきたのだと感じ入るところがあります。
「何をやっても育たない社員は辞めさせてしまえばいい」とおっしゃる経営者の方にお会いすると、ガックリします。そういう社長のためにがんばろうと社員は思えるでしょうか。この会社で成果を上げようと思えるでしょうか。
白井ヘッドコーチのご著書『メンタル・コーチング』の中のこのクダリに心打たれます。
【私たち指導者は、試合開始のスタートに立った選手に対しては、もはや技術や体力を与えてやることはできない。そこで与えられるのは限られた言葉しかないのだ。せっかく手塩にかけた選手がスタートラインに立つのだ。下手なプレッシャーをかけることではなく「おまえなら絶対にできるぞ、自信もっていけよ!」と、激励して送り出すに越したことはないのだ。】