コーチ石川の感動日記

144.聞き耳を立てて

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 出張先から札幌に戻ってくるたびに、季節が変わっています。この前まで美しく紅葉していた街路樹が、フリーズドライ状態になっていました。いよいよ雪の季節です。そして、久方ぶりの「感動日記」です。

 私が心から尊敬する天然コーチのKさんがこんな報告をしてくださいました。

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 先日、来年度の採用面接がありました。3月卒業予定の学生さんです。面接官は部長と私でした。5名のうち1名、見るからに暗そうな男子(1年次留年してます)でした。
部長:「現場での実習は楽しかったですか?」
○○さん:『実習は、まわりの人に拒否されているようで、つらかったです・・・。でも、やっと最近まわりが見えてきて、受け入れてもらえるので少しは違ってきました』
これを答えるだけで、彼は精一杯な感じでした。しかし、“これじゃ、彼は自信なくしちゃいます・・・”と内心思っていたところに、私が質問するチャンスが来ました。

私:「つらかったこともあったけど、今、○○さんが以前と違うと感じているということは、○○さんなりに苦しんだけどちゃんと乗り越えたから感じとれる今があると思います。すばらしいなぁ~と聞いていました。振り返って、自分の何が良かったと思いますか?」
○○さん:『以前は、自分を拒否する相手を責めていたように思います。でも、自分は本当にどうだったのか?今のままでいいのか?と考えるようになってから、周りの方たちともうまくいくようになりました』
その話をする彼は、キラっとして暗い彼ではありませんでした。いや~、面接って楽しいです。元気と勇気をもらいました。

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 ここで感じていただきたいのは、成長した○○さんのすばらしさはもちろんなのですが、Kさんの天然コーチぶりなんです。「つらかった。でも、今は少し違う」と語った相手の言葉から、変化と成長をしっかり聴き取る、そして、「自分の何が良かったか?」と問いかけ、相手の視点を自分の成長の方に向けさせる。
 
 例えば、部下を面談される立場にある上司の皆さんにはこんな面談をしていただきたいと思うのです。「たいへんだったな。よくがんばったな」←これに加えて、常に相手の前進、成長に、目を凝らしてほしい、聞き耳を立ててほしい、と思うのです。相手さえも気づかないその人自身の成長を、目ざとく見つけて引き出す。これがコーチの役割なのです。人は、自分の成長に気づいた瞬間によりいっそう輝くのです。前向きになれるのです。なんかそんな気がします。

Kさん、あなたはやっぱり名コーチです。

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