211.オランダの教育の「前提」
2014年5月12日、私は、オランダとドイツ国境に近い
ある小学校の前にいました。
まだ肌寒い季節でしたが、寒さより、
変な緊張感と興奮で密かに身ぶるいしていました。
「ついに来たよ!!」
さて、オランダの教育現場の様子をお伝えする前に、
ぜひ知っておいていただきたい前提があります。
前置きが長くて、申しわけありません。
この視察旅行で見聞きしてきたことを、
日本に帰って、私が話すと、日本人の10人中9人から、
まず、この質問を受けました。
「それは、公立の学校ですか?私立ですか?」
たしか、仲本かなさんと最初にお会いした時、
私もまったく同じ質問をしたと思います。
ですから、思わず、そうきいてしまう気持ちは
よくわかります。
ここで、例えば、私が「公立です」と答えたとしたら、
「じゃあ、オランダ全国がそういう教育なんですね」
と、日本人の多くは反応するでしょう。
「私立です」と答えたとしたら、
「ああ、やっぱり!私立だからできることですよね」
と、思うでしょう。その概念自体が、
オランダと日本では、まず、まったく違う
という点をご理解いただきたいのです。
オランダの特筆すべきところは、
「教育の自由」(次の3つの自由)が憲法で明確に
定められていることです。
①設立の自由・・・200人以上の子どもを集めたら、
学校としての設立を認め、補助金が交付される。
②教育理念の自由・・・反社会的でない限り、
いかなる教育理念も尊重され認められる。
③教育方法の自由・・・理念を追求し実現する
ために、教育方法は学校側に任されている。
なんと!懐の深い国だと思いませんか?
日本でも、最近、知られるようなってきた
シュタイナー教育、モンテッソーリ教育、イエナプラン
教育など、いわゆる「オルタナティヴ教育」
と呼ばれる手法を取り入れた学校が、公立でも私立でも
そこかしこにあるのです。
「校区」という概念はなく、子どもが行きたい学校、
子どもに合いそうな学校を、親子で相談して選んで
入学します。
公立も私立も国からの補助はまったく同じで
義務教育までは無料です。
その後、さらに上の学校への進学は、その前の段階の
学校を卒業していれば可能です。
基本的に受験はありません。
定員を超える場合は「抽選」って!すごくないですか?
このおおらかさ!
「選ばれてはじめて進める」のではなく、
「自分が選んで進む」。
その時点で、すでに主体性を尊重した教育と言えます。
私がここでお伝えしたいことは、数々ある
オルタナティヴ教育がどういうものなのか
ということよりも、コーチングの手法や考え方が根底
にある教育とはこういう姿なのだということです。
そこで、モンテッソーリ教育がどんなものなのか、
イエナプラン教育がどんなものなのか等の詳細は、
私よりもずっと専門家の方が本に書かれていますし、
今やインターネットで検索すれば、いくらでも調べる
ことができますので、ここでその詳細を述べることは
割愛します。
さて、お待たせしました!
次回からいよいよ!初めてオランダの小学校に潜入
した時の衝撃について、お伝えします。
(つづく)
前置きが長くて、本当に申しわけありません。