24.5年刻みのビジョン
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近所でもラベンダーが咲きました
先日また、良い出会いに恵まれました。陶芸家の神農巌先生との出会いです。2年ごとに開催されている札幌での個展に来札なさっていました。滋賀県に窯をお持ちの先生は、関西弁もさわやかな47歳、新進気鋭の作家という雰囲気です。今の季節にぴったりな清涼感あるすがすがしい青磁の色は、まさに私の好きな色で心惹かれます。
神農先生は、まだ19歳だった学生の頃、突然、「陶芸家だ!」と志を立てられたそうです。きっかけをお尋ねすると「DNAやと思います」。何かご自分を駆り立てるものが陶芸にはあったのでしょう。当時すでに、「30歳で窯を持って独立する」という明確なビジョンをお持ちだったそうです。そのためには、この学校に行って、その次はここで修行を積んで・・・。自分の中に数年刻みのビジョンが常に見えていたそうです。「将来、陶芸家として自分の作品を買っていただく時には、桐箱に入れて、そこに「書」を入れなくてはならない。そうすると、「書」も習っておいた方がいいな」 陶芸家としてまだ独立できるかどうかもわからない時期において、先生の中では、すでに陶芸家になっている自分の姿がはっきり見えていたようです。「すでにそうなっている自分」から、「現在の自分」を見つめる視点を先生は常にお持ちだったのですね。
30歳で独立して、35歳で8ヵ所で個展をやって、、、5年ごとのビジョンは見事に現実のものとなっていきます。「独立するまでの苦労は苦労とは思わなかったですよね。自分は将来、陶芸家になってると見えてますから」,「やると決めておくと、これがまたおもしろいもんで、その時期にちょうどいい話がくるんやね」,「自分の子供たちにも言うてるんですけどね、『やりたいと思ったら、ほんまにどうにでもなるからやってみろ』と。たしかに不安なこともあったんやけど、今、思うとほんまにどうにでもなる。『視野を広くもって、5年刻みでビジョンを描いていけば、たいがいのことはやれる』」。先生の作品の中ににじむ人間的魅力を感じた瞬間でした。
先生のこの言葉も印象的でした。「細かい技巧や講釈を相手があれこれ知らなくても、こっちが信念とコンセプトを持って作ったら、それは相手に伝わる」。
コーチングは、最終的に「何を言うかではなく、誰が言うか」というところに行き着きます。結局、言葉だけのテクニックで相手を動かすことはできない、その言葉を使うコーチの人間力、あり方がもの言う世界です。芸術の世界もよく考えたら同じですよね。作品の巧拙よりも作家の人間的魅力はたしかに大きい。
神農先生の中では50代のご自身もすでに見えているようです。これを機に、ファンとしてこれからの先生のご活躍を応援していきたいと思うと同時に、5年後の自分をもう一度映像化してみようと思った出会いでした。