コーチ石川の感動日記

98.恐るべしⅠメッセージ

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 先日、某企業の研修にうかがった時のことです。約束の時間に研修所に到着しましたのに、まだどなたも到着していらっしゃらない様子でした。どうやら講師が一番のりしたようです。しばらくして、皆さんが到着されましたが、なかなか会場までお集まりにならないようで、研修をスタートする雰囲気になりません。予定時刻を10分経過して研修はスタートしました。ま、そんなこともあるか。

 スタートして1時間半が経過。“では、これから10分間、休憩しましょう。あの時計で50分になったら始めますのでお集まりください。では、お疲れ様でした!”・・・10分後。指定した時間になりましたが、ほとんど誰も戻っていらっしゃいません。あれっ???3分過ぎたあたりで、2~3名戻ってこられました。あのー、もう休憩時間はとっくに過ぎているんですけど・・・。5分経過したあたりで、ようやく皆さんが戻ってこられましたが、まだ全員がそろったわけではありません。さすがの私も、カチンときました。どうなってんだ?この会社???

 “皆さん、遅いですよ!もう時間はとっくに過ぎてます。どうして時間を守らないんですか?社会人として時間までに来るって当たり前のことでしょ?時間厳守できないなんておかしいと思いませんか?” 言いたくなる気持ちを抑えて、私はある実験を試みました。
  “私、今回初めてこちらの会社の研修を担当させていただきますけれど、なんか不思議な企業さんだな~と思いました” 皆さん、キョトンとして聴いていらっしゃいます。私はいたってニュートラルに、明るめのトーンで伝えました。“私が、研修にうかがう会社様はほとんど、いつもお願いした時間にはきちんとそろわれるので、それが当たり前だと思っていました。こういう会社様もあるのね、と今日はたいへん新鮮な気分です。皆さんが帰ってこられないのではないかと私は少し心配にもなりました” ここで止めました。皆さんは、ただ私のことをじっと見つめていらっしゃいました。苦笑いをしている方も中にはいらっしゃいました。そして、このまま研修再開。

 次の休憩に入りました。「先ほどは遅れてすみませんでした」。お一人、わざわざ謝りにいらした方がありました。いや、そんな・・・。こういう態度に出てくださると、こちらがかえって恐縮します。そして10分後、いえ、8分後ぐらいでしたか。今度は全員がすでに着席なさっていました。スゴイ!皆さん、時間厳守できるじゃないですか。私は「時間、守ってくださいね!」とは一言も言っていません。強制もしていません。でも、ちゃんと皆さんが各々気づいて、行動してくださるんです。

 「あなたはこうすべき!こうしないあなたはおかしい。まちがっている」という言い方でアプローチしたら、人はどうしても反発を感じます。たとえ強制的に動かすことはできたとしても、こちらへの敵対心、やらされ感は免れません。それではお互いに気分よくありません。「私はこう思いました。私にはこんなふうに見えました」 相手を責めるのではなく、自分はこう感じたということを率直に伝えた時、相手は自分の取るべき行動に自発的に気づいてくれるようです。「私は」を主語にして伝えるⅠメッセージ。今回もその効果のほどは絶大でした。
皆さん、ありがとう!

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